BL小説感想「Don’t Worry Mamaシリーズ」木原音瀬
著者:木原音瀬
イラスト:志水ゆき
Don’t Worry Mama/脱がない男/男の花道(ビーボーイノベルス)
※同シリーズ作品です
!!大好きなBL作品を紹介がてら語っている記事であり、レビューにはなり得ていない超主観的な感想文です!!
今回はシリーズモノ小説なので三作一気に感想アップしました。
以下、ごく個人的な愛とネタバレにまみれておりますのでご注意。
Don’t Worry Mama
【受攻概要】ゴミみたいな性格の陰険デブ(受)とイケメンで仕事も出来るモテモテのゲイ(攻)
【あらすじ】同じ会社の社員である攻受二人が無人島に閉じ込められます。
【萌え一言】攻受の関係変化と徐々に加速する教育的調教
序盤では受がクソ人間過ぎて、攻も読者も最高にイライラします。無人島という過酷な状況下にも関わらず、デブは食べ物を独り占めする等。。自分勝手な行動を繰り返す。攻が歩み寄ろうとしても無関心。殺すぞ。としか思えません。
が、受のおかしな性格は世間知らずからきているところもあり、攻が人間としての基礎を教えていけば、それを素直に吸収していきます。
攻も受を「可愛い…」と思うようになっていきます。
攻は非常に支配欲が強く、雛鳥のように自分の後をついてきて自分の言うことならば何でも無条件に従ってしまう受が可愛くて、何もかもを自分のモノにしたくて堪らなくなっていきます。で・・・段々と無垢なぽっちゃりボディにエッチなことを仕込んで、開発していってしまう。
このあたりの、関係性の変化と変態度の高い調教展開が非常に非常に萌。
終盤は肉体的な繋がりより精神的な繋がりがテーマとなっていきますが、そちらの描写も秀逸です。
脱がない男
【受攻概要】エリートで上品で美形な女好き上司(受)とポンコツなヘタレわんこ部下(攻)
【あらすじ】仕事でぶつかり合いながらお互い成長していくリーマンサクセスストーリー。
【萌え一言】エリート上司が攻に心を許していく過程
序盤、攻は自分がポンコツな事を棚に上げ「仕事がうまくいかないのは受上司の所為」と考えて、彼を「あるネタ」で脅します。コイツ、どうしようもないな…と、受でなくても思うでしょう。
しかしながら、なんだかんだあって二人はお互いを信頼し始め、最後はベストパートナーといえる関係を築けます。
なお、この「なんだかんだ」の部分は、文章では非常に説明しにくい。
攻が脳筋で、行動や言動に論理性が無い為です。その場その場で気持ちの赴くまま動いてしまいます。良く言えば、勢いがあって行動的でハートフル。完璧主義で頭でっかちの受にとってはそれが心地よいらしく、次第にほだされて、癒やされて・・・という形で距離が縮まっていきます。
ヘタレわんこ×繊細美人受、という割合テンプレート的カップリングですが、木原先生らしいスパイスが効きまくっていて、大興奮のまま完走出来ること間違いなしです。
男の花道
【受攻概要】包容力ありまくりの健気オネエ(攻)とウジウジした粘着もやしっ子(受)
【あらすじ】受がダサくて気弱な自分を変えたいともがき、攻はそれをサポートしていきます。
【萌え一言】ピュアっピュアでもどかしい恋模様
受は冴えない自分を変えたくて、男の中の男!!!といった風格の攻に憧れ、弟子にして欲しいと頼む・・・といったところから二人の関係はスタート。が、この攻、実はいわゆる「オネエ」。表紙からババーンと披露してるバキバキ筋肉の内側には乙女なハートが息づいています。たまたま、男口調で喋っていたところだけを見られて弟子志願されている為、攻は困惑。
それでも、健気な受に絆されて、ついつい関係を続けていき…二人は家族以上の深い絆で結ばれていきます。
そのうち攻は受に恋愛感情を持ってしまいますが、受は純度100%のノンケなので手出し出来ず、攻は悶々とした日々を過ごすことに。。
とはいえ、二人の空気は「両片想い」的なもだもだに包まれていて、中盤以降は「ああもう!早くくっつけよ!!!」と突っ込まずにいられないんですけどね。
攻が真面目で健気な為、遠回りしまくっちゃいます。そこが見どころです。
主要登場人物は3作品それぞれ別々ですが、カップリングも舞台もつながっているので記載順に読まれた方が100倍楽しめます。
「脱がない男」に「Don’t Worry Mama」の番外編が収録されてたりしますし。
私は誤って最初に「男の花道」を読んでしまったんですが、シリーズ全て買った後に順番通り読み返して萌えに萌えました。
また、木原先生といえば一般書籍としても出版されている「美しいこと」や「箱の中」が有名なこともあって、痛い・切ない・暴力的・・・といったイメージが強い気がしますが、Don’t Worry Mamaシリーズはどれも非常にポップなコメディ仕様でして、そういった痛さ・切なさ・暴力的な雰囲気は控えめ※です。
※和み系作家様のコメディ作品と比べたら痛いし切ないしです
最後に。わざわざ特筆しなくても表紙からお分かりかもしれませんが、志水ゆき先生の挿絵が・・・まるで長編漫画の一コマのような、物語性や動きがあって最高なんです。たった1Pの挿絵からドラマが伝わりまくり。
志水先生も大好きな作家様の一人です。いつものことながら、仕草や視線から滲む色気が半端じゃない。
もし志水先生がお好きだったらそれだけで購入の価値ありありです。