読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

TomoLog

主婦+文筆業の雑感ブログ/注意・商業BL感想あります

ドラマ感想「モリノアサガオ」

モリのアサガオ

原作:郷田マモラ

 

全10話Amazonプライムビデオで観ました。

プライムビデオ、どんどん充実していくので有り難い限りです。

 

【あらすじ】

温室育ちの新人刑務官・及川直樹が配属されたのは、凶悪犯ばかりの死刑囚舎房。そこにはまったく反省しない者もいれば、深く反省し罪を償う者もいる。人が人に対し”償う”とは?”許す”とは?限られた命を見つめる者たちの奇跡のような心のふれあいが大きな感動を呼ぶ、”死刑”の今をうヒューマンストーリー。

【主演】

伊藤淳史, ARATA 

 

あらすじだけ読むとハートフルな印象ですが、実際はかなり殺伐としています。

死刑囚演じる役者陣がもう演技派揃いで。狂気・憎しみ・厭世・悲哀なんかが異様なまでに漂っていました。

個人的にはストーリーを追ったり死生観についてや「人が人に対し”償う”とは?”許す”とは」といったことを考えさせられたりすることはあまりなく、役者さんの「モリ(死刑囚達のいる拘置所)」に漂ういかんともしがたい行き止まりの空気を味わう為のドラマだったなと思います。

 

物語としてはオムニバス形式でして、様々な死刑囚に一話ずつスポットライトを当てていきつつすすんでいきます。

特に存在感を覚えた死刑囚演者は、六平直政柄本明大倉孝二中村獅童津田寛治でした。彼らにまつわるエピソードと感想を記録しておきます。

 

六平直政(役名:石峰明 )

物語中一番最初に処刑される死刑囚。多くの女性を強姦・殺害しているが、反省の様子は無く、死刑確定の順番から「あと最低5年は生きられる」と笑っていた。しかし主人公配属日の翌朝に処刑。

大福餅が好物で、処刑直前に振る舞われた時、泣きながら美味そうに食べる。このシーンが非常に怖い。まさに迫り来る死を背負っていた。

 

柄本明(役名:深堀圭造)

鶯谷事件という複数人が殺された事件の主犯。だが主人公の実父に庇われ、主犯格ではないとされ死刑は免れる。主人公の実父は死刑になり、深堀は懲役に。だが出所後、通行人を殺害した為結局は死刑判決が下った。主人公の実父に対しては「あんなお人好しは見たことが無い。世界一の大馬鹿野郎だ」と笑いながら零している。

物語の序盤から主人公に対し皮肉を大声でぶつけてくるが、その姿は狂人そのもの。後悔や反省を表すシーンはなく、最期の最期まで自分の生き様そのものをただ主人公に見せつけて処刑されていった。独特の台詞の間が終始不気味で、一声発するごとに緊張感が走る。

 

大倉孝二(役名:星山克博)

無銭飲食を咎められたことに逆切れし、食堂を経営していた倉持家の3人を殺害した。初めはその事件について全く反省していない態度をとっていたが、食堂一家の「幸せな家庭」を自らが破壊したことと自分の境遇とを重ね合わせて、混乱して暴れながらも、落ち着きを取り戻した後に一人生き残った娘に謝罪の手紙を送る。
改心後の処刑だった為、最期の際まで恐怖により悲鳴を上げていた。改心した様子が表情だけでも解る。また、その後悔も。人間らしさを取り戻した直後の処刑は非常な痛々しさから目を覆いたくなる。

 

中村獅童(役名:香西忠伸)

元不良グループのリーダー。通りがかりの高校生とグループから抜けようとしたメンバー2人の計3人をリンチして殺害。死刑確定後も荒れていたが、ある時から自分自身の過ちを悟り、被害者遺族に謝罪の手紙を書き続けるように。7年経った後に返事が届くが、それを読んで一層自分の罪が償いきれないものであると思い知り、死んで詫びようと自殺を図る。その際に及川に発見されて一命を取り留めた。

殺害シーンと罪を悔いて手紙を書いているシーンがまるで別人。何故彼が罪を悟ることが出来たのかは不明だが、そのギャップに圧倒される。

 

津田寛治(役名:迫仁志)
「うるさくて勉強の邪魔になった」という理由で、野球部の中学生8人を焼殺。反省するどころか自慢するナルシスト。文通を通じて獄中結婚した西田に対しても傍若無人な態度を取る。被害者遺族として面会に来た福田健吾に対しては「処刑される前に楽しんでやる」と言って舌を出した。
心底反省していない、という訳ではなく、自分の行為を正当化し逃避したがっているように見える。実際ラスト病死する直前に謝罪の言葉を残した。実際の彼は非常に小心者であろうことが伝わってくる絶妙な演技。

 

最後に・・・パッケージにも大写しになっている、もう一人の主人公と言ってもいい死刑囚ARATA(役名:渡瀬満)も勿論素晴らしかった。彼は両親を強盗に殺されるのだが、強盗は死刑にはならなかった。成人後、復讐の為にその男を殺し、死刑囚となってしまう。

表情や仕草から不幸や切なさが滲みでていて、彼に対してはどうしても同情的になってしまう。